栗原貞子『黒い卵』


私の想念は無精卵のように、

いくらあたためてもあたためても

現実の雛とはならないのか、

私の胸底深く秘かにあたためている黒い卵よ、

お前がその羽をはばたかせて

飛ぶ日は来ないのか、

お前がその固い殻を破ってはばたく時

人々はどんなにお前を讃美することだろう

極楽鳥のように幸いを約束する鳥よ

はばたけ、はばたけ。