栗原貞子『戦争とは何か』


わたしは戦争の残虐を承認しない

わたしはどんなに美しく装われた戦争からも

みにくい悪鬼の意図を見い出す。

そして自分達だけは戦争の埒外にあって

しきりに戦争を讃美し、煽る腹黒い

人々をくむ。

聖戦といい正義の戦いというところで

行われているのは何か。

殺人。放火。強姦。強盗。

逃げおくれた女達は敵兵の前に

スカートを除いて手を合わせるというではないか。

高梁が秋風にザワ/\と鳴っている高梁畑では

女に渇いた兵士達が女達を追い込んで

百鬼夜行の様を演じるのだ。

故国にあれば、よい父、よい兄、よい子が

戦場という地獄の世界では

人間性を失ってしまって

猛獣のように荒れ狂うのだ。